Gitanの趣味

ひたすら趣味の道を走っています(ニヤリ)

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私的時代劇考 

 ラ・ペッシュのモンブランについて書いているとき筆の滑りで思わず時代劇について書いてしまった。
 いまさらいうのもどうかと思うが、ぼくは時代劇が大好きである。
 だから最近テレビで時代劇が見られなくなってとても悲しい。たまに特別番組で『鬼平犯科帳』を放送することがあるが、慰めはそれくらいである。
 現実の江戸時代は性病が蔓延する、いまの感覚でいうととんでもないところだったようだが、池波正太郎さんの描く江戸は、人情があり情緒があり、なんとなくだが、
「いいなあ」
 と、しみじみと思える時代である。もちろん、その時代に戻って暮らしたいとは絶対に思わない。遠くから眺めて心をほっこりとさせるという意味の、いいなあである。
 もうひとつの時代劇といえば『必殺シリーズ』がある。しかし、あれはぼくのなかで時代劇の範疇に入っていない。以前、特番枠で仕掛人シリーズを放送していたことがあるが、あれは立派に時代劇していた。必殺ではなく、より原作に忠実な梅安さんが出てくるあれだ。
 もちろん、必殺シリーズが嫌いというわけではない。それどころか相当好きである。ただあれを時代劇と呼ぶことに抵抗があるだけだ。あれは現代劇である。もしくは、異なる次元にある日本の江戸時代を描いた物語だ、それ以外にありえない(笑)。
 他に時代劇といえば大河ドラマがある。が、あれを時代劇と呼ぶことにもいくらか抵抗を感じる。いや、かなり感じる。最近の大河ドラマは時代考証を最初から無視したおちゃらけたものもあるが、時代劇とは本質的に違う、何かが決定的に違うという気がする。
 いまさらいうまでもないことだが、黒澤時代劇が時代劇に与えた影響の大きさは計り知れない。『三匹の侍』の惨殺音。あらゆる時代劇――というか刀を振り回す場面がある映画ならそのほとんどで使われている飛び散る血飛沫は黒澤明の発明だった。さらに劇画の『無用ノ介』である。そのオープニングは、強い風が吹く宿場町に用無し犬こと無用ノ介がやってくるところから始まる。あの場面などはもろに黒澤時代劇である。はっきり言ってしまえば『無用ノ介』は『用心棒』を真似たのだと思っている。
 東映チャンバラ映画の息の根を止めたのは黒澤時代劇だったというような記述をどこかで読んだ記憶がある。歌舞伎調の東映時代劇をリアリティの黒澤時代劇が駆逐したような論調はよく見かける。黒澤以前と黒澤以後で時代劇は劇的に変わった。黒澤時代劇は東映時代劇を追い詰め、東映時代劇が変わらざるを得なくなった。確かにそういった面はあったように思う。
 ただ、黒澤時代劇――この場合は『用心棒』と『椿三十郎』――を指してリアル時代劇という見方は、いかがなものかと思う。時代考証などについてはリアルであったかもしれないが、お話自体は決してリアルでも陰惨でもなかった。陰惨どころか、秀逸なユーモア満載で、ほとんど喜劇映画という構造を持っていた。黒澤明は物語の肝のようなものをよく理解していた。あんな話は真面目にやってはいけないのである。
 東映チャンバラ映画の息の根を止めたと先にうっかり書いてしまったが、絶滅したわけではなかった。その後テレビで復活した。『水戸黄門』も『暴れん坊将軍』も、みな東映チャンバラ映画の末裔だ。
 しかし、そのテレビ時代劇もいよいよ終焉の時を迎えようとしている。
 あの『水戸黄門』がついに、本当の最終回を迎える。
 時代劇がかくも不人気になった理由をぼくなりに考えると、いまテレビを観る主流の人たちが時代劇に慣れていないということもあるような気がする。もちろん、これはまったく素人考えである。
 素人考えを続ける。
 この場合の時代劇というのは歴史劇ではなくチャンバラである。時代劇には歌舞伎のようなある種の決まりごとがあり、それを理解したうえで見ないことには、面白さがわからないようなところがある。平たく言ってしまえば型から入っていく物語の構造を持っている(ように思える)。
 そしてこの型というやつを理解するには、トレーニング――というか見慣れているということが重要になってくる。これまで時代劇を支えてきた世代は時代劇というジャンルの勘所を理解できる環境で育った人たちだった。子どものころから時代劇を観て、親しみ、片岡千恵蔵さん、市川右太衛門さん、近衛十四郎さん、市川雷蔵さんらの殺陣をうっとりとして眺めた経験があった人たちといってもいいだろう。
 時代劇における殺陣の重要性はいまさら言うまでもないことだが、殺陣のうまさ、美しさ、斬新さなどは興味のない者にとってただの大人のチャンバラごっこである。黒澤時代劇の殺陣の凄さ、新しさはそれ以前の時代劇の殺陣を知っている者にしか理解できない。
 そういう世代が表舞台から去って行こうとしているのかもしれない。
 やはり時代劇は消滅していくジャンルなのだろうか。何かと話題の市川海老蔵さんを主演にして「切腹」をリメイクしたりと、劇場では時代劇が上映されているが、テレビでは完全に息絶えたか、息絶えようとしている。
 今度こそ、ほんとうにおしまいかもしれない。
 なにせ、あの『水戸黄門』が本当の最終回を迎えるのだ。
 時代劇復権のためになにが必要なのか素人のぼくには分からない。
 いつかとんでもない天才が現れて、時代劇の型を残しつつ、しかも斬新で、複雑な人間像を描きつつ、しかもエンターテイメントしている、そんな時代劇を創ってももらいたいものだと切に願っている。
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カテゴリ: 時代劇

テーマ: 日記 - ジャンル: 日記

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Posted on 2011/11/02 Wed. 19:17    TB: 0    CM: 2

この記事に対するコメント

お邪魔します。

黒澤さんが、映画における時代劇に革命を起こしたのであれば、市川さんは「木枯し紋次郎」で、お茶の間時代劇に新風を吹き込んだと思います。
そしてライバル番組、「必殺仕掛人」がまたひと味違う時代劇を構築しました。

時代劇は、その時代によって変遷するものなんだなあと思います。
時代劇と伝統文化は、似通ったところがあるように感じます。
様式美の魅力も大切ですが、その時代に合った新しい伝統文化への試みも大切です。ただ踏襲しているだけでは、発展には繋がりません。

異端がいつしか認められ、それがまた伝統として受け継がれる。
時代劇もそうであっていいと思います。

私も、時代劇復権のアイディアなど持ち合わせていないのですが、意外とアニメ・コミックあたりに答えがあるかもしれません。

「水戸黄門」も最後ということで、今までにない展開があったりして、(黄門さまの元恋人の出現なんか)結構楽しんでいます。

URL | お夕 #wikz35BA

2011/11/06 01:00 * 編集 *

Re: タイトルなし

 お夕さんへ
 コメント、ありがとうございました。いつもながら返信が遅れて申し訳ありません。

 先日、再放送で昔の「大岡越前」を見ました。子供の頃に見たことがあるはずなのに、いま観てみるとその出来のよさにびっくりしました。
 番組そのものは、斬新なところなど少しもなく、いってしまえば時代劇の定番ようなストーリーだったのですが、いま観てみるとほんとうに感動的なほど時代劇していました(笑)。
 俳優陣も大坂志郎さん、片岡千恵蔵さんなど、日本映画史に残る名作に出演されておられた方々が出ておられ、いまから思うととんでもない豪華なキャストだったんだとあらため感心させられます。俳優さんだけではなく、もしかするスタッフの中にも日本映画史に残る名作に参加された方が大勢おられたのかもしれません。
 そういったことが、画面に違いとなって表れていたのかも――と、思ったりしました。
 しかし、何よりも感じたのは風景の違いでした。
 当時の日本には、まだこんなに時代劇の背景として違和感なく溶け込める風景が残っていたのかと感心して眺めていました。
 地面の感じが今の日本とまるで違います。土の匂いを嗅げるような画面――といえば分って頂けるでしょうか(笑)。
 もしかすると、この日本から、懐かしい日本の風景が失われていったことも、時代劇の衰退につながっているのではないかと感じた次第です。
 いまさらお夕さんにこんなことを申し上げるのは釈迦に説法ですが、第一期「木枯し紋次郎」のオープニングのあの感動的な風景。あの風景に支えられたからこそ、かつて誰も見たことがなかった斬新な時代劇「木枯し紋次郎」があったのではないかという気がします。
 天保時代を放浪する無宿人をあそこまで圧倒的なリアリティを持って描けたのは、市川崑の才能はもちろんですが、セットやカメラだけでは表現しきれない細部としての風景の力が大きかったように思えてなりません。
 いまの時代に、「木枯し紋次郎」のような斬新な時代劇は難しいかもしれませんが、やはり新たな才能の出現を期待しています。それはもしかするとアニメやコミックの手法を大胆に取り入れた作品かもしれないし、あるいはCGで完璧に江戸という時代を再現するのか、それは分かりませんが、とにかく時代劇の継承を希望してやみません。

URL | le_gitan #-

2011/11/09 20:19 * 編集 *

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