Gitanの趣味

ひたすら趣味の道を走っています(ニヤリ)

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真夜中の十字路 

 真夜中の十字路でロバート・ジョンソンは悪魔に魂を売り渡して卓越したギターテクニックを手に入れたという。いわるゆ『クロスロード伝説』だ。この伝説をモチーフにした映画も造られた。観たことはあるが、面白いかどうかは微妙だった。
 ロバート・ジョンソンはLPを持っている。CDではない、LPである。若いころにちょいとかっこうをつけて、ブルースなんぞをわかるつもりで聴いていた(笑)。もちろんブルースは素晴らしい音楽である。一流の演奏は、ジャンルを超えて聴く者に感動を与える。
 ブルースについていえば、ロバート・ジョンソンだけではなくライトニン・ホプキンスだとかスリーピー・ジョン・エスティスだとかあの辺りを聴いていた。BB・キングは『ジャングル』だったと思うが、一枚だけアルバムを持っている。が、ちょっと好みとはちがう。ゲイトマウス・ブラウンは文句なくかっこいいと思った。
 好きと書いたがこのあたりは微妙である。ぼくの趣味はどちらかといえばラテン系の音楽で、ブルースについては何となく自分を偽って聴いていたようなところがある。当時、つまりぼくが若かったころ、周囲にはブルースがかっこいい、ブルースが好きだという連中がけっこういた。そのなかでひとりフラメンコが好きだ、サンバが好きだと頑張っていたわけだが、多少は世間に合わせることも必要だと判断したわけだ(笑)。
 ロバート・ジョンソンのアルバムを手に入れようと思ったのは、『ブルースギター入門(だったと思う)』という教則本の中で紹介されていたからだった。
 いま手元にその本がなく著者が誰であったかわからないのだが、当時ブルーヘブンのギタリストだった吾妻光良さんの名前が出てきたことは覚えている。
 著者は失念してしまったが、これは並みのギター教則本ではなかった。なんというか読み物としてそうとう面白かった。その本の中でロバート・ジョンソンは単にアメリカにおける黒人音楽の創始者のひとりというだけではなく、ブルースにおけるいまに続くギター奏法の創始者というような位置づけで紹介されていた。
 つまり、人類史上稀に現れる天才のひとりであるということだ。彼が残した二枚のアルバムはアメリカの文化遺産ということは当然のこととして、さらにその上、人類の文化遺産として位置づけられてもおかしくない――と絶賛されていた。いや、そこまでは褒めていなかったかもしれないが。
 とにかく、そこまで書かれるほどのミュージシャンとはいかなるものか。はたまたそのテクニックはそれほど凄いのか。
 当時はまだロバート・ジョソンの写真はないと言われていた。ちなみに写真については現在でも本人だと確認されたものは2枚だけらしい。
 写真もなく、天才的なギターテクニックとソングライティングの才能に恵まれ、人妻との不倫の果てに29歳で毒殺されたという噂をきけばそれは聴きたくなって当然というものだ。しかもクロスロード伝説である。
 ロバート・ジョンソンはその後写真も発見され、死因は毒殺でも射殺でもなく病死(妹の証言)だったということで落ちつたらしいが、伝説と神秘に包まれたミュージシャンの遺した音楽を聴いてみたくないわけがない。好奇心を激しく刺激される存在なのだ。
 で、聴いた。
 驚いた。たしかにそれは歴史的遺産だった。ようするに古い録音だった。雑音が多く、ギターの音もボーカルもくぐもったようで、こちらのセンスの問題が大きいのだろうが、凄いのかどうかよくわからなかった。
 ひとつにはぼくにブルースを理解する心が欠けていたこともあるとは思う。ただそれにしても古いことは古かった。人類史上初めて――なのかどうかわらかならいがとにかく最初に近い時点で――ウォーキングベースとメロディを同時に弾きこなした人物、あるいはそれを録音した人物という意味での重要性は大いに納得できても、聴いて楽しめるかといわれると、ぼくの場合――
「……?」
 と、なってしまう。ブルース好きの人には誠に申し訳なく思うのだが、これはもう好みの世界の話しなのでご勘弁いただくしかない。
『Love In Vain』はあのローリングストーンズも、クラプトンも歌っているくらいだから名曲なのだろうとは思う。ただ、ブルースのメロディというのは、ぼくにはいまひとつよくわからないところがあり、評価できるほどの耳がない。
 ぼくの能力の問題はさておき、ロバート・ジョンソンという人は、つまりそういう曲――時を超えて評価され歌い継がれる曲を書くことのできる人だったのだ。中途半端な聴き手であるぼくなどの理解を超えた存在――キリコ・キュービーではないが時たま人類のなかに現れる異能者か、はたまた天才だったのだろう。
 才能にあこがれるのは人間の常だと思うが、才能は一種の毒気でもある。司馬遼太郎さんがゴッホについてそんなことを書いている。ロバート・ジョンソンについて考えるとき、確かにそうなのかなと思ったりもする。ロバート・ジョンソン伝説は、あたかも彼が才能によって殺されたといっているようにきこえる。
 真夜中の十字路で悪魔と取引をしてでも手に入れたいものが才能だが、天才であったり異能者であったりすることの代償は高くつくものかもしれない。
 ちなみに一番好きなブルースマンは、ぼくの場合、アルバート・コリンズである。
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カテゴリ: 音楽

テーマ: 雑記 - ジャンル: 小説・文学

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Posted on 2011/09/10 Sat. 20:10    TB: 0    CM: 0

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