Gitanの趣味

ひたすら趣味の道を走っています(ニヤリ)

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散弾銃 

 たとえばアクション映画でよく使われるアイテムは散弾銃である。善悪問わず景気よくぶっ放しているが、冷静に考えるとあれはとても怖い場面だ。至近距離から発射された散弾銃の恐怖については、よく物の本で読んだりもする。
『ワイルド7』にも主人公が散弾銃で犯罪者を粉砕(射殺ではなく文字通り粉砕)する場面があった。生き身の人間に向かって散弾銃を発砲するという感覚は、遠方から狙撃銃で額を打ち抜くよりも遥かに残酷だ。感覚的にいうと刀で斬るようなものだという気がしてならない。返り血を浴びる覚悟が必要だ。
 大好きなコーエン兄弟の映画『ノーカントリー』に登場する殺し屋は、この散弾銃に消音器を装着していた。原作ではこの消音器は自家製みたいな記述があり、そういうことができるのかと驚いた覚えがある。
 映画のタイトル『ノーカントリー』だが、日本で出版されたときの小説タイトルは『血と暴力の国』である。こちらのほうがなんとなく好きだ。こういうある種のあくの強さを持ったタイトルが好きなのである。
『ノーカントリー』というタイトルがついているが、オリジナルは『No Country for Old Men』で、日本で公開されたタイトルとは少し違う印象がある。なるほど、ぼくも大好きな原作者のコーマック・マッカーシーは純文学の作家で『血と暴力の国』などというキワモノっぽいタイトルはそぐわないと配給会社は考えたのかもしれない。
 とはいえ、内容は純文学っぽい装いをした犯罪小説で、こんなやりかたもあるのかと目から鱗の作品だった。ぼく的にいえばこの作品は、犯罪小説の形を借りた純文学ではない。その逆だ。たとえば大藪春彦さんあたりが純文学を書けばこんな感じになったかもしれないと勝手に想像したりする。
『すべての美しい馬』という名作があるが、そのころから好きだった。セリフに引用符をつけない独自の書き方をする作家で、そのあたりも新鮮だった。いったいどこまでが地の文でどこからがセリフか、読めばもちろんわかるのだが、時々、
「はて? これはどっちだ」
 と、なる。そのあたりを読みにくいと思うか面白いと思うか。ぼくは面白いと思った。とにかく、そういった独自性も含めてこの作家の個性が好きである。小説はつまるところ方法の発見という感じもあり、そういってよければ何でもありである。
 作家のセンスということを考えることがある。たとえばゴルゴ13にM16を持たせたのも一種のセンスである。そういうことになった経緯がどういうことであれ、結果としてM16を狙撃用ライフルとして使用させたのは作者の感覚だったと思う。
 あるいは『秘密探偵JA』や『ワイルド7』の主人公にコルトウッズマン22口径という華奢な感じのするピストルを持たせた望月三起也の好み、それもセンスだ。そしてこの感覚はとても重要なのだ。ハリー・キャラハンに習って主人公に何でもかんでもS&WM29(マグナム44)を持たせたがるセンスは、正直ダサイと思ったりもする。
『血と暴力の国』に登場する殺し屋アントン・シュガーを象徴する武器はサイレンサーつきのショットガンとスタンガンである。このふたつの特殊な武器は、主人公の性格――というか特殊な感覚をよく表しているように思える。
 ただ、無謀を承知で悪口をいえば、アントン・シュガーの思わせぶりな態度が鼻につくこともある(笑)。関川夏央氏は小説『名探偵に名前はいらない』のなかで、
「黙示録に登場する不吉な登場人物を懸命に真似ようとしているような」
 と、そんな内容の独白を主人公に語らせている。主人公を脅しにきた暗黒街の男を描写した部分なのだが、こういった芝居くささをアントン・シュガーから感じる瞬間も、ないことはない。
『恐怖の岬』がリメイクされたとき、頭がとびきりよくてしかも頭がおかしい犯罪者をロバート・デ・ニーロが演じ酷評された。その酷評のなかに、
「彼は演じる人物を怪物的に見せようとするあまり、滑稽になってしまった」
 というのがあった。ようするに力みすぎて滑ったわけだ。それに通じるものがあるように思えてならない。しかし、だからだめだとは思わない。『血と暴力の国』はまちがいなく名作であり傑作だ。だいたいどんなことでもけちをつけようと思えばつけられるものなのだ。
 作家の個性というのは、細部にこだわることだともいえる。《神は細部に宿る》である。押井守が『アヴァロン』を製作したころ、
「作家の個性というのはデジタル的な表現ではなくガラスの割れ方とかそういったアナクロの集積だ」
 と、いうようなことをいっていた記憶がある。あるいは『イノセント』の頃だったろうか。まあいい、いいたいことは小道具ひとついえども馬鹿にできないということだ。小さな、ほんとうに小さなひとつひとつの要素を、神経症的に積み上げていくことで物語に個性やリアリティが生まれるのだろう。

 散弾銃についてはまだ書きたいことがあるので、つづく――(ただし、いつになるかわかりません)
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テーマ: 映画 - ジャンル: 映画

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Posted on 2010/10/15 Fri. 20:43    TB: 0    CM: 3

この記事に対するコメント

お久しぶりです。

作家の個性は、小さなひとつひとつの要素を、神経症的に積み上げていくことにある……。

ああ、そうなんだ。それが作風になるんだ、と納得しました。

何気なくちりばめられたかけらが、最終的には作家そのものの本質に迫るんですね。
ストーリーのおもしろさや奇抜さだけではないということが、よくわかりました。
細部にまで気を抜かないというか、細部こそが重要なんですね。

私が「木枯し紋次郎」を愛する理由に、緻密な情景描写があります。
ストーリーの魅力もありますが、この描写がないとあの世界のリアリティーは半減します。

これから作品を観たり読んだりするとき、細部に宿る神を見つけたいと思います。

URL | お夕 #wikz35BA

2010/10/16 22:02 * 編集 *

Re: タイトルなし

 コメントありがとうございました。お久しぶりです。『紋次郎気質』はついに「年に一度の手向草」までやってきたようですね。これは直感なんですが、このあたりから原作者の笹沢さんも紋次郎とずっと付き合っていこうと決めたような気がするときがあります。

 もっともこれは、あくまでも素人の考えですのでまるで見当違いかもしれませんが(笑)。いずれにしてもひとつのテーマをずっと追い続けているというのは凄いことだと思います。これからも紋次郎と旅を続けてください。

 ふと思うことがあるのですが、《鳴神峠》の死闘を切り抜けた紋次郎は天保を超えて旅を続けていますよね。紋次郎のその後の旅――テレビドラマ化も小説化もされていない紋次郎のその後の旅を知ってみたい気がします。お夕さんの想像する紋次郎のその後はどんな生き方をしたのでしょう。

 いつかブログに書いていただきたいと思っています。だめですか(笑)。ちなみにぼくは、紋次郎はどこかで明治を迎えたと思っています。明日のない生き方を貫いた紋次郎が、生き残った。本人にとっては不本意だったと思いますが、なぜかそんな気がしてなりません。

 紋次郎の第一シーズンの最終回はもちろんご覧になったことともいます。「流れ船は帰らず」でのあの居酒屋のセットはなかなかでした。まるで西部劇の酒場のようにデフォルメされていましたが、ほんとうに天保時代にあったかのような感じでした。

 ああいった細かい部分の演出をしたかしなかったかが、最終的に大きな違いとなって画面に現れるような気がしてなりません。皆が見落とすような小さなことに気づくか、あるいは皆が〝まあいいか〟と思うえるような部分に目をつむらないか。その差は一ミリでも最終的に天地の開きになるような気がしてなりません。

URL | le_gitan #-

2010/10/17 18:27 * 編集 *

こんばんは。

紋次郎の少年期は妄想しましたが、老後は……。

自分の老後のことで手一杯で、紋次郎の老後までは考えられません(笑)。

仰るとおり、明治まで生き長らえることは可能ですよね。
どこで旅を終えたのか、はたまた死ぬまで旅を続けたのか。
ずっと渡世人のままか、生業を変えたのか。

私の頭から離れないのは、「仏門」です。
紋次郎の原作に「峠だけで見た男」という作品があります。
シリーズの中では一番短編なんですが、紋次郎の神髄を表出した逸品です。
紋次郎の精神性の凄さを見切った老僧が印象的で、私は紋次郎の行く末の姿のように思えました。

紋次郎が、降りかかった火の粉を払ったとはいえ、たくさんの命を奪ったことは確かです。
もしかしたらその魂を弔うために「僧」になって、行脚するなんて……。

いやいややっぱり、自分の老後の方を考えます……。

URL | お夕 #wikz35BA

2010/10/18 20:34 * 編集 *

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