Gitanの趣味

ひたすら趣味の道を走っています(ニヤリ)

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復讐する者へ 

 復讐する者といえばもちろんハムレットだ。しかし、ぼくの場合真っ先に思い浮かべるのは『I・飢男(アイウエオボーイ)』である。暮海猛夫である。小池一夫原作、池上遼一画の劇画で『GORO』という雑誌に連載されていた。シェイクスピアほど格調は高くはない。
 どんな話しかというと恋人を殺された男の復讐劇だ。ありがちといえばありがちな話である。彼の恋人はとある大物政治家の秘密を知ってしまったばかりに殺される。そして、彼も殺されかける。九死に一生、かろうじて生き伸びた彼は、当然の成り行きとして復讐を誓う。
 彼は競馬の障害物レースで電流を使った八百長をして三億円を稼ぎ出す。その金を持ってアメリカに渡る。目的はハリウッドに自分の復讐劇を売り込むためである。つまり三億円を使って自分の復讐劇をドキュメンタリーとして撮らせ公開させようという企てである。
 ハリウッドを復讐に巻き込むというのは素晴らしいアイデアなのか、それとも狂人の戯言なのか判断の難しいところである。たしかなことは、この復讐劇は完結していないということだ。暮海猛夫はいろいろあっていまラスベガスにいるはずである。しかし、その後どうなったかはいまだに語られていない。
 それから何年かして『傷追い人』という劇画がはじまった。小池、池上コンビで主人公は復讐に生きる男だった。この作品は完結した。主人公はついに復讐を果たした。周囲を巻き込み、ずいぶんとはた迷惑な復讐だったが、彼はとにかく復讐を果たしたのである。
『I・飢男』で主人公の復讐を完結させられなかった作者が形を変えて続きを描いたのだとこの作品を読んだとき思った。もし、そうであったのなら、これもひとつ復讐――リベンジである。両作品とも、ぼくの肌になじまないところがあり、読み返したいとは思わないのだが、とにかく復讐は成し遂げられた。

 実をいえば復讐という湿度の高い感情は好きではない。たとえばゴッドファーザーにこんなセリフがある。ドン・ヴィトがトム・ヘイゲンに、
「復讐という料理は冷めたころが一番うまい」
 と、いう。これは映画の中にはなかったセリフである。あったのかもしれないが、日本語には訳されていなかったと思う。原作にはある。こういった感覚は苦手だ。ただ、人間がそういう気持ちになることがあるということは理解しているつもりである。だから苦手なのだ。冷めた料理を食わされる立場にはなりたくない。
「先輩を殺ったやつを忘れるわけがないだろう。こっちは忙しいんだ。おまえなんかにかまっていられない」
 と、こちらは事件屋家業(関川夏央原作・谷口ジロー画)のなかにあるセリフだ。正確にそうであったかどうかいささか自信がないが、たぶんこんな内容だった思う。冷めた料理の復讐よりもお仕事第一だ。
「うらみつらみもビジネスさ」
 と、割り切れればどれほど楽だろう。そうは行かないところが人間の辛いところであり、楽しいところでもある。復讐には血が通っているがビジネスには血も涙もない。『ゴッドファーザー』に話を戻せばマイケル・コルレオーネの冷たさはビジネス第一主義にある。
「相手を憎むな、判断力が鈍る」
 マイケルが無鉄砲な甥っ子のヴィンセントを諭すときのセリフだ。『ゴッドファーザー・パートⅢ』である。父親はシシリー出身の血の熱い男だったが、息子はビジネスライクなアメリカ育ちだ。
 乾いた世界は好きである。乾ききって寒々とした世界。きっと遠くまで見通せるはずだ。明晰なものが好きなぼくにとっては心引かれる。世界にあるどんなことでも整理できるものならしつくしてみたいという欲求がある。
 一方で人を憎めるから愛することもできるのだということもある程度理解しているつもりでいる。どれほど割り切ろうとしても人の心には割り切れないものが残る。整理しつくしたつもりでそこから零れる、《その他》が必ず存在する。
 裏切り者の兄を殺したマイケル・コルレオーネは終生苦しみ、そして最後に最愛の娘の死という復讐を受ける。正直にいえば『ゴッドファーザ・パートⅢ』のできはイマイチだったが、あのラストは、長い物語の最後に狙っていたものかもしれないと思うほどはまっていた。
 多くの復讐者は復讐の果実を手に入れるために、自ら進んで地獄を受け入れる。狂った姫が眠狂四郎いったセリフではないが、
「たとえ生き残ってもおまえの人生は血まみれだ!」
 ということだ。人は復讐し、そして復讐される。それは絶対に変えられない。人も国家も同じことである。どこかで憎しみの連鎖は断ち切らなければならない。可能だろうか……たぶん、不可能だ。
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Posted on 2010/10/12 Tue. 23:14    TB: 0    CM: 0

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