Gitanの趣味

ひたすら趣味の道を走っています(ニヤリ)

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男の背中 

 何度も書いていることだが、サム・ペキンパーという監督はどこか好きになれない。暴力描写が嫌いということではない。クエンティン・タランティーノも衝撃的な暴力を描くが決してきらいではない。
 さらにいえば、ペキンパーの師匠であるドン・シーゲルも暴力描写に優れたものを持っていたが大好きだった。日本でいえば、我らが黒澤明はペキンパーが真似たといわれるほど、凄まじい暴力を演出して見せた。
 おそらく自分は乾いた感じが好きなのだろうと思う。ペキンパーには感傷的な部分があり、それがどこかなじめないような気分にさせるのかもしれない。小説でいえばチャンドラーの感傷よりもハメットの乾いた諦観が断然いい。もちろん、これは好みの問題で、人にとやかく言われても、絶対に譲らない(笑)。
 しかし、全部だめかというと、決してそんなことはない。この監督は恥をかく男の姿みたいなものをよく描いた。その場面はなぜか好きだった。恥をかいてそこで立ちどまらない男の姿が妙に心に残る。そういう意味では、男の気分みたいなものがよくわかっている人かも知れないと思ったりもする。
 たとえば『ダンディー少佐』だったと思うが、女性といちゃついていて、傷を負ってしまう場面があったと記憶している。軍人としては情けない話である。主人公はあのチャールトン・ヘストンで、その赤っ恥をかいた情けない顔がなんともよかった。
 あるいは自分では互角と思っていた相手にガンファイトを挑まれ、銃を抜けなかったか男の惨めさみたいなものを描いた場面もあった。『昼下がりの決闘』だったろうか。とにかく、ああいった気分になることは誰にでも一度や二度はあるような気がする。ちょっと意地の悪い見方をすれば、それだけ男は単純な生物だともいえる。
『ワイルドバンチ』のなかにもそういう場面があった。主人公のパイクが馬に乗ろうとするときそれはおきる。その前、パイクはすぐに仲たがいをする仲間に対して、チームワークの大切さを説いている。ようするに説教をしていたわけだ。
 説教が終わり、いざ馬に乗ろうとしたとき鐙皮が切れ、パイクは無様に地面に転げ落ちるのである。その顔が苦痛に歪む。最初、この映画を見たとき、どうしてあの程度のことでパイクはあれほど痛がるのかわからなかった。
 後に知ったことだが、パイクには脚に古傷があるという設定だった。シナリオには左足(だったと思う)に古傷があり、少し足を引きずるようにして歩くとなっていたはずだ。つまりそういうことだったのだ。鐙皮が切れて転がり落ち、古傷を痛め苦痛に顔を歪める。しかし、呻き声はもらさない。懸命にもれそうになる呻き声を押し殺している。
 さっき説教をした相手はすでに馬上にあり、地面に転がっている初老の無法者を冷たく見下ろしている。凄いのはこのとき、冷たい目で見下ろしているのは、パイクに反感を持っている連中だけではないということだ。
 同性愛的感覚ではないかと勘ぐってしまうほどの深い友情で結ばれている仲間も、このときは無言で見つめている。もちろん、その目には反感を持っている連中とは別のひかりがあることはわかっている。このあたり、アーネスト・ボーグナインの名演技だ。
 とにかく、誰も助けようともせず、手を貸そうともしなかった。この場合は、それが正しい。パイクは歯を食いしばり立ち上がる。そして、鐙を使わないで馬に乗る。そのとき、反感を持つ仲間の一人が、
「馬にも乗れねえ老いぼれか」
 と、いうような意味のことをいう。パイクは何も言わない。ウィリアム・ホールデンが演じているのだが、このときの顔が実にいいのだ。悲しげで寂しげで、この表情はじわっと胸にくる。パイクは無言で皆をみて、目的地に向かって進みはじめる。
 その背中がたまらない。片方の肩を少しだけ落として、馬の背に揺られている男の背中に、なんともいえない哀感が漂っている。老いた無法者の寂しさのようなものが伝わってくる。あれはたしかに名場面だった。
『男の背中』は増位山太志郎のムード歌謡で、なかなかの名曲だが、映画『ワイルドバンチ』で見せた男の背中も印象に残った。あの有名なラストの銃撃戦以上に好きな場面かもしれない。
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テーマ: 映画感想 - ジャンル: 映画

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Posted on 2010/10/07 Thu. 20:30    TB: 0    CM: 0

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