Gitanの趣味

ひたすら趣味の道を走っています(ニヤリ)

10« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.»12
 

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

カテゴリ: スポンサー広告

[edit]

Posted on --/--/-- --. --:--    TB: --    CM: --

坂の上の雲 

「明治という時代は明るかった」
 と、言ったのは黒澤明だ。
 リメイクされる『姿三四郎』がどうしてだめなのかという問いに対して(厳密に質問ではなかったが)、その理由について語ったときのことだ。現代人の感覚で明治の青年である姿三四郎を描く。そこにそもそもの間違いがあるというのである。明治は明るかった。その明るさを体現するようなキャラクターでなければ、映画は成功しないという。
 そのとき黒澤明が例に出したのが、司馬遼太郎の『坂の上の雲』だった。明治時代に生きたことがないので、本当のところはわからないが、たしかにそういう部分はあったかもしれない。新しい時代がはじまり、何かが始まるという期待だ。
 ただ、それはあくまでもフィクションとしてのことだろうと思う。黒澤明も、もちろんそのあたりのことはわかっていたはずだ。物語の核のようなものをつかみ取るときの、黒澤明の、いってみれば《コツ》のようなものを語ったわけで、現実の問題として明治が明るい時代だったのかどうかは、はなはだ疑問である。
『坂の上の雲』は読んだが、さして明るい時代とは思えなかった。時代のどこを眺めるかによって、見方は変わるのだろう。大人物とは程遠いまったくの小物だから、戦争の犠牲になった無名の人々のことばかり気になる。彼らにとって明治が明るい時代であったとは思えない。
 歴史を鳥瞰などできない性質だ。自分も時代の荒波の中で、浮いたり沈んだりしている有象無象のひとりだから、偉大な革命も、正義の戦争も、そういったところとは関係のないところで生きた人たちのほうがはるかに気になる。
 ぼくにとって明治維新は、革命でも何でもない。徳川幕府への一種のうっぷんが原動力となって起きたとしか思えない。その結果が明治維新と呼ばれるもので、よくわからない騒動の後に、気がつくと革命っぽいものが起きていた。そんな感じではないだろうか。
 明治維新は偶然の累積が生み出したひとつの結果にしか過ぎない。仮に徳川政権が続いていたとしても、日本の近代化はあっただろうし、その後に続く歴史も、似たようなものになったのかもしれない。

 その『坂の上の雲』がNHKで始まった。かなり前にこの作品がドラマ化されると聞いたときに、ある種の違和感を覚えた。著者の司馬遼太郎はこの作品の映像化を許さなかったという話を聞いたことがあったからだ。厳密にいうと読んだ。著者がなくなって、というか著者がいなくなったからこそ、映像化が決まったのではないかと勘繰りたくなる。
 この物語(あくまでも物語で、歴史的事実ではおそらくないだろう)の映像化を許さなかったという司馬遼太郎という人は、やはり一流だった。ぼくは司馬史観とかいうものを全面的に肯定しない立場の人間だが、それでも司馬さんは超一流だったと思っている。その考えは今も変わらない。
 司馬遼太郎という人は、自分の書いているものが、自分の意志とは違う受け止められ方をする可能性があることをちゃんとわかっていたのだ。一歩間違えると過去の歴史を、無批判に肯定しかねないような物語を、映像化するのはどんなものだろう。映像の持つ影響力は凄い。美化される歴史ほど危険なものはない。
 あの時代の良かったことも悪かったこともきちんと把握してから観るのと、いきなりドラマチックな物語としてそれを観るのとでは、天と地ほども受け止め方がちがうはずだ。肯定する人もいれば批判的な人もいる過去のある出来事を、物語に仕立てるには、相当な注意が必要ではないかと思う。
 司馬遼太郎という人の作品は大好きである。しかし、それはあくまでも小説として好きだということである。司馬遼太郎という人は、好みの人物を必要以上に持ち上げるようなところがある。
 そのあたりのことを自分なりに判断していかないと、たとえば織田信長は偉大な変革者である部分ばかりが目について、とんでもない大量虐殺をやったことを、うっかり見落としてしまう。殺される側の立場にもなってみろということだ。司馬さんは影の部分もちゃんと書いているが、そっと目立たないように書くことがある(笑)。
 しかし、物語なら人物をデフォルメすることもありだ。歴史的事実の評価を自分の好みに合わせて書き換えることもありだと思う。極端なことを言えば、まったくの捏造でもかまわない。学生時代に習った歴史が少しも面白くないのは、それが現実だからだろう。やや断定的に言えば、本当のことなど少しも面白くない。嘘だから面白いのだ。現実にいくらかの嘘を交えるとき、お話は最も面白くなる。
 断わっておくが明治の人物群像の中で、ぼくの最も好きな人物が、『坂の上の雲』の主人公である秋山兄弟だ。特に兄の好古さんが好きである。『坂の上の雲』を読みながら、もし映像化されるなら、この二人を演じるのは誰だろうと思っていた。そう思いつつも、今回の映像化にはやはり違和感を覚える。
スポンサーサイト

カテゴリ: テレビドラマ

テーマ: NHK - ジャンル: テレビ・ラジオ

[edit]

Posted on 2009/12/06 Sun. 10:28    TB: 0    CM: 0

この記事に対するコメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://shang2.blog94.fc2.com/tb.php/256-1f78657b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

最近の記事

月別アーカイブ

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

FC2カウンター

メールフォーム

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。