Gitanの趣味

ひたすら趣味の道を走っています(ニヤリ)

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紋次郎の最後の物語 

 知りあいのブログさんで『木枯し紋次郎』について書いておられる方がお二人おられる。紋次郎を愛する気持ちが、ひしひしと伝わってくる内容でとても好きだ。紋次郎について知らなかった秘話や思いもよらなかった視点からの切り口など、楽しく読ませてもらっている。
 もうずいぶん前のことである。笹沢左保氏がテレビでインタビューを受けていた。木枯し紋次郎がテレビで放送され、同時進行で小説も書かれていたころのことだ。誰だったか忘れたが女性のインタビュアーが笹沢氏に、
「木枯し紋次郎は最後にどうなるんですか」
 と、尋ねた。
「死にます」
 笹沢氏がにべもなく答えたことをはっきりと覚えている。
 もう何十年も前のことである。あの時、笹沢左保氏は本気で紋次郎の死でシリーズを終わらせるつもりだったのだろう。事実、『唄を数えた鳴神峠』のラストは明らかに紋次郎の死を読者に意識させる。
 なるほど作家というのは複雑なものだと思った。自分の生み出したキャラクターに愛着がないとは思えない。しかし、インタビューのあの言葉である。木枯し紋次郎ほどのキャラクターとなると簡単には手が切れない。作家としての将来を考えたとき、木枯し紋次郎の笹沢左保で終わりたくないと思ったのかもしれない。
 S・キングの作品『ミザリー』にそういった場面がでてくる。ある作家が自分の生み出したキャラクターである《ミザリー》から何とか逃れようと思い、作中で殺してしまうのである。作家は小躍りして喜ぶ。
 現実の作家である笹沢左保氏の思いはもっと複雑だったと思うが、どこかで紋次郎から逃れたいという気持ちがあったのではないだろうか。そのインタビューを受けたころの笹沢左保氏はずいぶん若かった。
 しかし、紋次郎は死ななかった。鳴神峠の死闘を切り抜け、その後も旅を続ける。天保時代を過ぎてさらに後の時代までも。一時期は山林業などしていたようだが、たしか嘉永五年、黒船がやってきた年に渡世人に復帰する。その後も旅を続け、あるいは明治をどこかで迎えたかもしれない。
 先のインタビューから何十年か過ぎたインタビューで笹沢左保氏は、
「最終的に紋次郎はどこかに行って戻ってこなかった、そんなラストを考えている」
 と、答えていた。『木枯し紋次郎』はまだ書き続けていた。
 結局、紋次郎の、本当の最後の物語は読むことができなかった。そのことを少し残念に思い、同時に嬉しくも思ったりする。そんな個人的な気分はさておくとして、時の流れは人を変えるものだと思った。
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カテゴリ: 時代劇

テーマ: 小説 - ジャンル: 小説・文学

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Posted on 2009/07/27 Mon. 20:56    TB: 0    CM: 2

この記事に対するコメント

お邪魔します。

_gitanさん、こんばんわ。
その女性インタビュアーは黒柳徹子さんではなかったですか。その様子は「紋次郎の独白」に笹沢先生が書かれています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

黒柳さんは一年ほどアメリカに行っていたので、紋次郎のテレビや小説を目にしなかった。だが、アメリカに居ても紋次郎の存在だけは知っていたと言う。そして番組の中で、黒柳さんは最後の質問として僕に聞いた。
「紋次郎は、最後にどうなりますか。」僕は答えた。「死にますよ。」
時間が無かったので、それ以上に具体的なことは質問されなかった。正直な所、それ以上に具体的な事は答えられないのだ。
紋次郎は言う。「煮るなり、焼くなり、勝手にしておくんなさい。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

最近、笹沢左保先生の告白的自伝小説「詩人の家」を読みました。これを読むと紋次郎は笹沢左保その人だったのだと確信できました。発表当時はベストセラーになったそうですが、現在は余り日の目を見ているようには思えません。

「青春の門」に並ぶ傑作だと思いましたし、久しぶりに時間を忘れて一気に読んでしまいました。小説を夢中になって読むなんて何十年ぶりだったでしょう・・・。

URL | おみつ #aiP0wTO2

2009/07/28 20:06 * 編集 *

おみつさんへ

コメントありがとうございました。返事が遅れて申し訳ありません。インタビュアーの件、黒柳さんだったような気がします。何分昔のことで記憶があいまいですが(笑)、ただ笹沢さんのあの言葉だけははっきりと覚えています。

「詩人の家」についても、読んだのはずいぶん昔ですが、印象に残っています。曖昧な記憶で書いているので、あるいは間違っているかもしれませんが、
「自分は運命論者」
だという記述がなかったでしょうか。自分は運命論者だという言葉に笹沢さんが抱える深い諦観を感じたことを覚えています。紋次郎のある種の救いのなさは根っ子に作者の人生に対する深い諦観があったのかと思ったりしたことがありました。

しかし、繰り返すようですが、歳月は人間を変えるものだということを強く感じたのも、笹沢さんを通してでした。前にも書いた覚えがありますが、気を衒うでもなくこつこつと作品を書き続けた姿はとても好きでした。

当たり前の料理が一番難しいという話を聞いたことがあります。笹沢さんの作品というのは、いってみれば当たり前の料理ですが、妙な作家意識を押しつけてくる作品よりも、普通の作品を質を落とさず書き続けたことは尊敬に値すると思います。

URL | gitan #-

2009/07/30 19:47 * 編集 *

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