Gitanの趣味

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ケビン・コスナーの『荒野の決闘』 

 ケビン・コスナー監督主演の西部劇『ワイルド・レンジ』は、正統派の西部劇だった。ストーリーは単純明快だ。牛を追ってとある町を訪れたカウボーイが、町を牛耳る悪党に仲間を殺され、仇討ちをするという、それだけの話である。くわえるなら、美しい女性と最後に結ばれるというハッピーエンドが用意されている。
 古きよき時代の西部劇を現代風に仕立て直した。そんな印象の映画である。アメリカ史に関してはそれほど詳しくないので、時代考証がどこまで正確か判断はできないが、印象だけを言えば1882年の西部の町として、リアリティを持って描かれていたように思える。
 だが登場人物には現代的な味付けがしてあったような気がする。ケビン・コスナー演じる元ガンマンのカウボーイは、戦争(この場合は南北戦争だろう)の犠牲者という設定である。このあたりはベトナム帰還兵もののイメージがある。一種のランボーだ。
 それでも、西部劇には当然登場するであろう、人物たちがここにはいる。暗い過去を引きずる元ガンマン。人生の知恵をたくさん持った老カウボーイ。お人よしの大男。孤児のカウボーイ見習い。主人公と恋に落ちる妙齢の美しい女性。その兄の篤実な医師。最後は勇敢に奮い立つ、優しい町の人々。
 ただし、酔っ払いのネイティブアメリカンも、従順な黒人も、まるで下僕のように扱われる中国人も登場しない。かつての西部劇なら当然のように登場したそういった人々が、この映画には出てこない。登場しない人々がいることが、いまの映画だ。

 この物語はようするにケビン・コスナーにとっての『荒野の決闘』なのだ。ストーリーに、多少の変化はあるものの、基本的に同じ構造を持っていた。偶然そうなったのか、狙ってそうしたのか、個人的には狙ってそうしたように思える。
 ジョン・フォードは『荒野の決闘』の主人公を、実在の人物、ワイアット・アープとした。しかし、あの映画のワイアット・アープが生の人間としてのワイアット・アープとはまるで違うことは、誰でも知っている。あの映画に登場したのは、ようするに無学だが知恵と勇気がある心優しいカウボーイだった。
 心優しいカウボーイと美しい女性の恋、そして撃ちあい。これはもう西部劇の三大テーマのようなものである。『荒野の決闘』はその西部劇の三大テーマを面白く、しかも格調高く描いていた。
 リアリティはなかったかもしれない。ジョン・フォードが描いたワイアット・アープも盟友のドク・ホリディも相当に美化され、生きている人間というよりも、人間のある生き方の象徴のようだった。あの映画の中では、悪徳さえもどこか救いのあるもののように描かれていた。苦悩は甘美なもののようだった。
 ジョン・フォードが真実を知らなかったはずがない。1894年の生まれである。ワイアット・アープはまだ生きていた。ジョン・フォードとワイアット・アープは親交があった。ワイアット・アープがなくなったのは1929年だ。
 ジョン・フォードにとって、西部劇の世界は遠い過去の物語ではなかった。つい昨日の物語だった。だが、彼は現実の西部劇の世界を描かなかった。現実の中からエッセンスを抽出し、結晶化して見せた。結晶は輝きを放つ。リアリティを捨てたからこそ、あの叙事詩のような西部劇が生まれたのだろう。

『ワイルド・レンジ』が『高野の決闘』になりきれなかったとしたら、それはようするにリアリティの問題ではないかと思う。時代考証に目を瞑ることができない時代だ。現実の西部の町を再現すれば、登場人物も自然と現実味をもってくる。
 生の人間に『荒野の決闘』は無理だ。欲望は生臭く、心の歪みは醜く描かざるを得ない。悪徳は誰の心にもある。苦悩は時に人を狂わせる。内に、ある種の狂気を抱えた人物は、絶対にジョン・フォードの描いたワイアット・アープにはなれない。
『ワイルド・レンジ』は叙事詩ではなく、隣に住む人々の物語だった。生臭い葛藤を抱えた人間たちの物語だった。いや、どちらにもなりきれていない、中途半端な感じがあった。だから、甘さが残った。
 この映画を見ながら考えたのは、いまどきの西部劇事情の難しさだった。歴史的な事実に目を瞑ることができない時代になってしまった。嘘をつくにしても、歴史的事実のパーツをそろえなければ、誰も納得してくれない気配がある。やはり西部劇は歴史劇に行くしかないのか。見終わってそんな印象を持った作品だった。
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カテゴリ: 映画

テーマ: 映画感想 - ジャンル: 映画

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Posted on 2009/06/20 Sat. 20:00    TB: 0    CM: 0

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